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と名付け、平成6年度に横須賀港にて組立、7年度に据え付けた(FiG−1.)。また、1号函における製作上の課題を抽出し、改良点を盛り込んだ2号函を現在製作中である。
2. ユニット化・プレハブ化構造2)
2−1. 概要
(1)プレハブ化の方法
ケーソンをユニット化・プレハブ化する方法は、現在いくつかの選択技がある。たとえば、部材をRCブロックとして接合する方法、PC版パネルを接合する方法、そして当局が製作した合成版パネルによる方法などである。当局が合成版を前提としたのは、主に輸送時の欠け防止や部材の軽量化のためである。
(2)部材の構成とサイズ
部材構成は、鋼殻と現場打ちコンクリートの合成構造による「底版」にH鋼等で組み上げた「内部骨格」を建て込み、これに合成版の「外壁パネル」をはめ込み密着する3ユニット構成とした(FiG-2.)。
現場作業の軽減と省力化をめざすため、部材については、細分化による継ぎ目の増加を避け、かつ輸送時に部材を取り扱うクレーン等の能力を超えない範囲の大きさとしなければならなかった。100トン吊りクレーンを想定し、1部材の重量を30トン程度とすることを目処に検討した。また、部材を製作する工場はほとんど海辺に立地していることから、海上運搬を前提とした。

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(FiG-2. Components of P.S.C)

2−2. 合成版構造による利点
パネルシステムケーソンは、銅版とコンクリートの複合構造としたため、靭性が高くかつ外壁厚が相対的に薄く軽量化が図られている。また、底版は鋼殻構造であるため、ロングフーチング化が容易である。
実証函では軟弱地盤に対応するため、フーチングを2m張り出し、本体は幅3.5m、長さ25mというスリム化を図っている。重量は本体(蓋コン、中詰めなし)で約660トン(26.4t/m)であり、RCケーソンが長さ15mで約640トン(42.7t/m)となることから、効率のよさが理厚できる。
このようにスリムで強靱な構造により、軟弱地盤への適用、長大化への対応が容易である。また長さあたりの重量が小さいため、効率のよい施工ができる。
2−3. 接合部の技術
(1)溶接長さの短縮
パネルシステムケーソンは構造上ケーソンの内側部分に鋼版が使用されており、部材同士の接合は溶接が採用された。しかしながら溶接作業は現場の省力化には結びつきにくいため、内部骨格を梁構造とすることにより溶接箇所を減らすなど、総溶接長さの短縮化を図った。
(2)スリーブ継ぎ手の使用
ケーソンの側壁あるいは底版を3辺固定または4辺固定の二方向版として取り扱っているため、縦筋も横筋も主筋として鉄筋相互の応力伝達を有効とする接合方式をとった。すなわち外壁パネル相互及び底版と外壁パネルの接合にスリーブ継ぎ手を併用した。なお接合部についてはモデルによる載荷試験を行い、応力の挙動が正しく設計で取り扱えることを確認した(FiG-3.)。
(3)継目地のコンクリート
縦目地については、飛沫帯にさらされることから、十二分な止水性が要求されるため、接合後に注入するコンクリートの種類について実験により慎重な検討がなされた。この結果、ブリージング、養生後の収縮性(ひび割れ抵抗性)、強度などから、1号函では無収縮コンクリートを採用した。

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(FiG-3. Design of connecting Structure)

2−4.設計計算手法3)
(1)課題と方針
通常のRCケーソンでは、隔壁の剛性が大きいため、断面力の算定は接合部を剛体とした設計法で行っている。しかし、パネルシステムケーソンは、パネルと内部骨格の複合構造であり、さらにパネル自身が合成版である。外力に対しては、内部骨格のみならず外壁パネルによる合成効果が期待でき、同時に、接合形式による応力伝達の違いから特に接合部のモデル化が課題となった。
これらの構造全体の挙動を見るために、FEMによる3次元構造解析を行うこととした(FiG-4.)。

 

 

 

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